ひねもすのらりくらりかな

福岡在住です。 すろーなペースで食べ物,写真などについて書いてます。

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2016.12.24 Sat » イブの夜を祝いめで鯛!


本日はクリスマスイブ!
そもそも土曜日の夜,しかも連休の中日と言うことで,
サービス業などの人は大変でしょうが,
今日を休めた人は結構多かったのではないでしょうか?

私の場合,出勤自体はしたのですがすぐに放免されてしまい,
こんな日に街に繰り出してかぷ~るたちの熱気にあてられたら
相対的に自分の熱気が下がって-273℃まで落ちそうなので
マッチを擦って暖を取る少女のような気分で,
夏の山笠の写真をみることで暖をとろうとしていたのですが…

20161224natu.jpg

その頃,博多祝いめで鯛がデビューしたのをよろこんで,
創作小説でも書いてみようと思っていた気分が再燃してしまい,
30分ほどかけて念入りに時代考証した上で(笑)書き出してしまいました。

20161224iwaimedetai.jpg

当初考えていた「今日中に書き上げる」までは全然いかず,
導入部分までしか書けなかったのですが,
ここまで書いたら年末年始で完成まで持って行けそうだと
思いもしたのでアップしてみることにしました。

本ブログ同様,余計な表現が多くて分量の割に
全くストーリーが進まないものですが,
できたらさっと目を通していただけると幸いです。
ちなみに,公式に「こんなクソ2次小説書きやがて!」と訴えられると怖いので
一応登場人物の名前を変えて書いておりますのでなにとぞお目こぼしのほどを。

しかしまあ今みてみると昨年も同じように小説書いて,
しかも終わり方も全く同じ
なので成長してない自分を実感しました。

*******************

「さわらないで!」

 いつものように父に触れようとのばした赤子の手を,
はたくように強く引き戻し抱きかかえた妻の顔には,
きっと見据えた目と固く食いしばった歯が浮かび,
震える肩をそれでも必死にいからせながら,
「この子は私が守る」と全身で訴えていた。

 こんな妻の形相をみたことなどなかった…
子猫を守ろうと必死に体毛逆立てる母猫とまるで同じで,
理解を求め目を合わせようにも,目が合えば合うだけ
緊張で体をこわばらして赤子を抱く力が増すばかりで,
強く抱かれすぎた痛みでおぎゃあと泣き出した赤子の声を聞いて
雄伊佐ははっと我に返り,中空を一つ見据えて深く息を吐いてからいった。

「安心してくれ,出て行くから。この子を頼む。」

 この言葉を聞いた時にみせた妻の安堵の表情もまた,
これまで一度もみたことがないものであった。
木とつながった糸を切られた蜘蛛の巣のように
張り詰めた体をくしゃりと床に崩して赤子を床に寝かせ,
天女のような柔らかい表情で赤子の顔をなでて安心させてから,
くるりと振り返った妻の表情は全く別のものであった。
赤子に手を出さぬよう警戒の目を光らせながら後ずさりして
納戸の中から既に包まれた荷物を取り出してきて,
今生の別れへのためらいか,それとも手渡すための接近へのためらいか
わからないおびえた仕草で荷物を放り投げるようにして雄伊佐に渡した。
そしてそれが済むと完全に目をそらして下を向き,
立ち去る足音による解放を震えて待つだけの存在に妻は化した。



 1241年に博多の町をおそった疫病は,
博多津の漁師であった雄伊佐の身をも襲った。
働くことが出来なくなった病人を養う蓄えはなく,
ましてや加持祈祷を望むべくもなかった家庭を守るため,
病人は家を出てのたれ死ぬのを待つしかない時代であった。

「これからいったい,どこに行けばいいんだ。」あてがなさ過ぎて
どちらを向けばよいさえ分からず空を見上げると,
ぎらつく太陽に目をやられて頭の中にめまいが襲う。

これまでであれば目を閉じてしばらくすると自然に消えた頭の中のゆらぎが,
慣れぬ小舟で海をゆく時のように足元をふらつかせ,
自分の体が疫病にやられていることを雄伊佐は自覚せざるを得なかった。

「気づけばここにきちまうんだな。」
何も考えずにしばらく足の向くままに歩いた雄伊佐の目の前には,
これまで自由闊達に漁をしてめぐった袖の湊が拡がっていた。

20161224umi.jpg

鯛釣りの名手と言われていた雄伊佐の釣った鯛は,
上手に暴れることなく釣り上げられるため見目が良く,
そのため神饌の鯛として選ばれることもたびたびあったことが雄伊佐の自慢であった。

20161224shinsentai.jpg

「櫛田宮にも選ばれたことが…。」と自分の最盛期を思い出し,
現状との違いにかすかに嗚咽が漏れた時に,
ふと祇園宮の御神徳が病魔退散であることを思い出して,
ならば最期に参拝をしたいと思い雄伊佐は櫛田宮に向かった。

20161224sandou.jpg

 漁に出られずろくに日焼けをしていない雄伊佐の皮膚を,
夏の日差しが容赦なく照りつける。
それにあわせて細かい汗が皮膚に浮かぶが,
体の奥底に潜む宿痾が体全体を温めることを拒むため,
汗は大粒に結ばずただねっとりと肌に留まり続ける。
「でもまだ歩ける,だれも気づきはしない…。」そう心の中で自分に言い聞かせ,
ただまっすぐ前を向いて快活な笑顔を浮かべ,
何かをみているはずなのに何も意識に残らないまなざしで歩を進めた。

20161224temizu.jpg

「ほら,手水も,ちゃんとできた。」と少しほっとして,拝殿の前で鈴を鳴らし,
「二礼二拍手一礼もちゃんと・・・」と思いながら二拍手をすると,
予想外の大きさと清らかさで鳴り響いた拍手の反響に体も震え,
すっとつっかえていたものが霧散できたと心地よく思った瞬間,
雄伊佐はその場に倒れ込んでしまった。

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