なかすジャーズ
2016/09/09(Fri)

それは お袋が残してくれた 最後のぬくもりでした

駆けつけた救急隊員でざわめく台所の中に
細くそれでもしっかりとした電子音が鳴り渡りました。
それは母親がセットしていた炊飯ジャーの
ご飯の炊きあがりを知らせる音でした。
「朝ご飯、準備がまだ…」
「そんなこといいから!早く!」
それが、母と交わした最後の会話になってしまいました。
20160909jkw-a.jpg

(画像はTIGERの公式ページよりお借りしました)

・・・・・・・・・・・・・。

「母の日、たまにはオサレに花でも買ってあげようか?」
台所仕事をしている花に背中越しに話しかけると、
母は何か思い出すように少し上を向いた仕草をしてから
「ええなあ、カトレアの花束とか欲しいわ~」と笑って答えた。

『カトレア、ねえ…』いまいち腑に落ちない気持で花屋に向かい、
「母の日ようにカトレアで花束をつくってほしいのですが…」とお願いしてみる。

「カトレアですと、うちでは鉢植えしか扱ってないのですが…」
とちょっと困った表情で答える店員さんのしめす先の花を見ると、
思ったより派手で豪華な花だったので面食らったが、
あまり「あれが欲しい、これが欲しい」と言わない母親が
珍しく指定した花だからいいかと鉢植えを包んでもらうことにした。

鉢植えを抱えて帰った私の姿を見た母は、開口一番
「何それ」と驚いた表情だったので
「何って、これ、オカンがほしがってたカトレアじゃん」
と答えると、母はまだ理解したようなしてないような表情で
「そうね、カトレア…カトレアって、こういう花だったのね~」と答えた。
「知らんと頼んだんかい!」と軽く突っ込むと、
「いや、ある程度は知っていたけどこんなに豪華な花だとは」と
自分と同じような感想を言葉にしたのでなんだかおかしくなって
「まあ、想像よりしょぼいよりかはいいよな、はいこれが母の日な」
と言って居間に飾ろうとすると、母は「最初は仏壇にあげといて」と答えた。

「なんであんま知らん花を頼んだの?」と晩飯を食べながら母に聞くと、
母はそうそうと笑いながら立ち上がって台所に向かい、
物置ゾーンの奥にしまわれた大きな炊飯ジャーを指さして言った
「このジャーの花が目に入っていたから言ったのよね。カトレアって。」
「ああ~あったねえ~その炊飯ジャー。新しいのに替えてもう何年かね。」
と懐かしい気分で笑いながら私が聞くと、母も懐かしそうな表情で
ちょっと考えて、そしてふっとうつむくようにして続けた
「お父さんが亡くなって一度に炊く量が減ってからだから…
もう、3年になるかねえ…。」
20160909jcc-2700.jpg

(画像はTIGERの公式ページよりお借りしました)

・・・・・・・・・・・・・。

というわけで中洲ジャズに行くことが出来ていないので、
代わりに妄想で「なかす(炊飯)ジャー」の話を書いて
「なかすジャーズ」でいかがでしょうか・・・・・。

まあでもほんと炊飯ジャーってダイレクトに「ご飯」結びつくので、
「ご飯」を媒介としていろんな家庭のいろんな感情に結びつくんだろうなあと。
それと、「炊飯ジャーの大きさ」はそのまま「家族の大きさ」を反映するので
炊飯ジャーの歴史はそのままその家族の歴史を反映するんだろうなあと。
そんな視点で見ると炊飯ジャーがまた違ってみえてくる気がします。

・・・・・・・・・・・・・。

こんな無茶なネタでブログ書かなくてすむように、
明日は聴きに行けますように中洲ジャズ。

20160909flower.jpg
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